解体費用の補助金はいくら?もらえる条件と申請の流れを解説

「実家を解体したいけど、補助金は使えるのだろうか」「空き家の解体費用、少しでも安くしたい」——解体工事は決して安いものではないため、補助金の有無は多くの方にとって重要な関心事です。

実は、解体の補助金制度は自治体によって「ある」「ない」「条件」がまったく異なります。同じ都道府県内でも、隣の市では使えるのに自分の市では使えない、というケースも珍しくありません。

この記事では、解体費用の補助金について全国共通で知っておくべき基本知識を、業者の許可情報や申請実績のデータを分析してきたプロの視点で分かりやすく解説します。


工事の検討中

私の住んでいる市にも、こういう補助金ってあるものなんでしょうか?

中村 慎

それはお住まいの自治体によって本当に差があります。まずは補助金の基本的な仕組みから一緒に見ていきましょう。

目次

解体費用の補助金とは

解体の補助金は、主に「空き家対策」「老朽住宅の除却促進」を目的に、各市区町村が独自に設けている制度です。国が一律に決めている制度ではなく、実施するかどうか、条件、金額のすべてが市区町村ごとの判断になっています。

そのため、同じ建物・同じ条件でも「住んでいる場所」によって補助が受けられるかどうかが変わる、というのが解体補助金の最大の特徴です。

工事の検討中

「対象外だった」という人、実際多いんですか?

中村 慎

ご相談データを見ても、解体を決めてから業者選びと契約を一気に進めてしまい、自治体への確認や申請を後回しにしてしまうケースは少なくありません。補助金は「使えたら嬉しい後付けの特典」ではなく、解体を検討し始めた最初の段階で必ず確認すべき項目だとお伝えしたいです。

補助金の4つのタイプ

解体の補助金は、目的によって大きく4つのタイプに分けられます。お住まいの建物がどのタイプに当てはまりそうか、まず把握しておくと制度を探しやすくなります。

タイプ対象になりやすい建物金額の目安
老朽危険家屋解体撤去型倒壊の恐れがある老朽空き家。最も一般的なタイプ上限30万円〜100万円程度
空き家対策型1年以上使用されていない空き家上限20万円〜50万円程度
景観保全型観光地・景観形成地区等にある建物。解体後の土地利用に条件がつくことが多い解体費用の1/5〜1/2程度
ブロック塀撤去型道路に面した危険なブロック塀(建物本体の解体とは別制度の場合が多い)上限10万円〜30万円程度

なお、対象者の条件として、「市税・固定資産税などの滞納がないこと」や、「共有名義の場合は共有者全員の同意が必要であること」を求める自治体も多くあります。これらは見落としがちな条件なので、事前相談の際に必ず確認しましょう。

補助金額の目安

補助金額は自治体によって大きな差がありますが、目安としては以下のようなレンジになります。

補助のタイプ金額の目安
上限額のみ設定上限20万円〜30万円程度が多い
補助率(費用の一部を補助)費用の1/2〜4/5程度、上限額とあわせて設定されることが多い
手厚い自治体上限50万円〜100万円程度の制度を設けている市町村もある

「思っていたより少なかった」とならないよう、必ずお住まいの自治体の公式サイトか窓口で正確な金額を確認しましょう。

補助金を受けるための代表的な4つの条件

自治体ごとに細かい条件は異なりますが、多くの制度に共通する条件は以下の4つです。

条件内容
建築年数・老朽化基準「昭和56年5月31日以前に建築(旧耐震基準)」などの基準を設けているケースが多い
個人所有であること所有者本人、または相続人が対象。法人所有は対象外になることが多い
着工前の申請が必須工事を始めてから申請しても対象外になる。見積書を取った段階で申請するのが基本
市内業者を利用する条件補助対象の自治体内に本店がある業者への発注が条件になっているケースがある

中でも「着工前の申請が必須」という点は、知らずに損をしてしまう人が多い最重要ポイントです。「工事を急いで先に始めてしまった」というだけで、補助金を受け取れなくなってしまいます。


同じ都道府県内でも制度はこんなに違う(埼玉県の例)

「自治体によって差がある」と言われても実感しにくいかもしれません。そこで、当サイトが先行して情報を集めている埼玉県内の実例を見てみましょう。

市町村制度の有無・内容
さいたま市住宅解体そのものへの補助金は無し(危険なブロック塀の撤去費用補助のみ、上限30万円)
秩父市市内業者利用で上限30万円、市外業者利用で上限20万円(昭和56年5月31日以前の建築が対象)
熊谷市補助率80%(費用の4/5)、上限30万円
川越市制度あり。実績報告・請求書の提出期限が細かく決まっているため、スケジュール管理が重要
狭山市予算の範囲内・先着順。早めの申請が必須
富士見市空家除却補助金あり(市内業者の利用が条件になる場合がある)
本庄市空き家除却補助金あり(事前の調査が必要)
北本市老朽空き家等解体補助制度あり
蕨市老朽空き家等解体補助金あり

埼玉県の中心都市であるさいたま市に、実は住宅解体の補助金が無いという事実は、多くの方にとって意外なポイントではないでしょうか。一方で、近隣の秩父市や熊谷市、その他多くの市町村では制度が用意されています。

工事の検討中

さいたま市に住宅解体の補助金が無いなんて、ちょっと意外でした……。うちの市は大丈夫なのか不安になってきました。

中村 慎

その気持ち、よく分かります。だからこそ「自分の市が対象になるか」を自分で確認することが何よりも重要なんです。次の章でその他の注意点も一緒に確認していきましょう。

なお、東京都では区市町村の制度に加えて、都独自の「空き家家財整理・解体促進事業」も用意されています。解体費用は上限10万円(補助率1/2)、家財整理費用は上限5万円(補助率1/2)が補助される仕組みで、お住まいの区市町村の制度と併用できる場合があります。千葉県・神奈川県でも、市区町村ごとに同様の制度の有無や条件が異なるため、お住まいの自治体の制度は必ず個別に確認しましょう。

申請の流れと注意点

補助金を受け取るための基本的な流れは、どの自治体でも大きくは変わりません。

手順内容
1. 制度の確認お住まいの自治体の公式サイトや窓口で、制度の有無・条件を確認する
2. 事前相談担当課(建築指導課・都市計画課など、自治体により異なる)に事前相談する
3. 見積書の取得解体業者から見積書を取得する(複数社比較がおすすめ)
4. 着工前に申請必要書類とともに、工事に着手する前に申請書を提出する
5. 交付決定後に着工交付決定の通知を受けてから工事を開始する
6. 完了後の報告工事完了後、実績報告書・請求書などを期限内に提出する

特に注意したいのが、以下の3点です。

  • 予算に達すると受付終了になる自治体が多い(先着順)ため、検討しているなら早めに動く
  • 市内業者限定の条件がある場合、業者選びにも影響するため、先に確認しておく
  • 実績報告・請求書の提出期限が個別に設定されているケースが多く、工事完了後も油断できない

申請に必要な書類

補助金の申請には、一般的に以下のような書類が必要になります。自治体によって名称や形式は異なるため、事前に窓口で確認しましょう。

書類内容
申請書自治体所定のフォーマット。窓口やホームページから入手できることが多い
解体前の写真建物の外観・内部の状態が分かる写真
工事費用の見積書解体業者から取得した、着工前の見積書
登記簿謄本または固定資産税の通知書所有者・建物の情報を確認するための書類
本人確認書類申請者の運転免許証など
老朽化を示す資料(老朽家屋の場合)自治体によっては、老朽化の判定調査が必要になる場合がある

申請でよくある失敗パターン

補助金の申請では、知らずに対象外になってしまうケースが少なくありません。代表的な失敗パターンを知っておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。

失敗パターン内容
着工後に申請しようとした解体を急いで先に始めてしまい、申請のタイミングを逃してしまうケース
予算終了で受付が締め切られていた「先着順」の制度で、検討している間に予算上限に達してしまうケース
市内業者限定の条件を見落としていた条件を確認せずに市外業者と契約し、後から対象外と分かるケース
必要書類が一部不足していた不足分の再提出に時間がかかり、結果的に着工が遅れるケース

これらはいずれも、「制度を知らなかった」のではなく「タイミングや条件の確認が後回しになった」ことが原因です。解体を検討し始めた段階で、早めに自治体へ相談しておくことが最大の対策になります。

補助金以外で費用を抑える方法

補助金が使えない、あるいは条件に合わない場合でも、解体費用を抑える方法は他にもあります。

解体費用そのものの相場や安くする方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「解体費用の坪単価はいくら?木造・鉄骨・RC造の相場をプロが解説」

複数社から見積もりを取って比較することも、結果的に補助金以上のコスト削減につながることがあります。お住まいの地域で信頼できる解体業者をお探しの方は、上記のエリアページから口コミ・評判をご確認のうえ、まずは見積もりを依頼してみることをおすすめします。

お住まいの地域の補助金情報を確認する

正確な金額・条件は自治体ごとに異なるため、当サイトでは地域別の特集ページもご用意しています。お住まいの地域の解体事情とあわせてご確認ください。

※その他の市区町村も、サイト内のエリア一覧からご確認いただけます。

よくある質問

Q.
解体の補助金は誰でも使えますか?
A.

いいえ。建築年数・所有形態・着工前申請など、自治体が定める条件を満たす必要があります。

Q.
補助金はどこに申請すればいいですか?
A.

お住まいの自治体の建築指導課・都市計画課など、解体補助を担当する窓口に申請します。窓口名は自治体により異なります。

Q.
工事を始めてからでも申請できますか?
A.

できません。多くの自治体で「着工前の申請」が必須条件となっており、工事後の申請は対象外です。

Q.
補助金の申請にはどんな書類が必要ですか?
A.

申請書、見積書、解体前の写真、登記簿謄本や固定資産税の通知書、本人確認書類などが一般的です。自治体により異なるため、事前に確認しましょう。

Q.
申請から補助金が交付されるまでどのくらいかかりますか?
A.

自治体によりますが、申請から交付決定まで数週間〜1か月程度かかることが多く、その間は着工できない点に注意が必要です。

まとめ

解体費用の補助金は、自治体によって「ある・ない」「金額」「条件」のすべてが異なります。埼玉県内でも、さいたま市のように住宅解体の補助金が無い自治体と、秩父市・熊谷市・富士見市など手厚い補助を用意している自治体が混在しています。

まずはお住まいの自治体の制度を確認し、必要書類を整えたうえで着工前に申請を済ませること。そして、補助金が使えない場合でも、複数社の見積もり比較で費用を抑える方法があることを覚えておきましょう。


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この記事を書いた人

「どこに頼めばいい?」というお悩みに、客観的なデータで答える専門家です。

長年、不動産業界で業者の許可情報や行政処分歴、市場相場といった膨大なデータを収集・分析する仕事に携わってきました。ネットの口コミだけでは見えにくい「業者の本当の実態」を、公的な事実に基づいて明らかにすることを得意としています。

現在は「解体さがし」編集長として、宅地建物取引士の監修のもと、公平な立場で「適正相場」や「業者の選び方」を分かりやすくお伝えしています。

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